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神社は祖先を氏神として祀ったことに始まります。

TEL. 0564-31-****

〒444-0943 愛知県岡崎市矢作町字尊所

 矢作町三区弥五騰社 YAGOTOSHA

 矢作町字羽城に鎮座する十四等級弥五騰社(やごとしゃ)は、矢作町三区氏子の氏神様(鎮守)です。

 大正五年八月矢作町細井岩次郎寄進建立の社標には「弥五騰神社」と刻されていますが、これは通称名で、神社庁に登録されている社名は「弥五騰社」です。

 元は彌五郎殿(やごろでん)と称し浪合記の「尾張國海部郡門真庄津嶋社」よれば「南朝後村上院時代の正平元年七月十三日に夢告を得た牛頭天王の居守堀田家の弥五郎正泰が左太彦宮を建立し武内大臣及び平定経の二座を祀り、時の人は願主の名を唱えてこれを弥五郎殿と称するようになった。牛頭天王は南朝後村上院時代の建徳元年正月二十五日に正一位を授けられて日本惣社と号し、牛頭天王、八王子大権現及び一王子大権現を津嶋三所と云う。後亀山院の勅命により大橋三河守定省が弘和元年の冬に造営したのが現在の津島神社の宮地に祀られている左太彦宮及び弥五郎殿である」ということを伝えています。

 「浪合記」中に「南朝後亀山院弘和元年」という件があります、弘和元年(1381)は南朝長慶の時代であり、南朝後亀山院の時代なら元中元年(1384)の誤りです。

 武内大臣は堀田家の先祖で平定経は地主の神とされ、弥五騰社の前身である弥五郎殿は津島神社から勧請したものということになります。

 大臣(おおおみ)は古墳時代のヤマト王権において大王(おおきみ)の政務を補佐するため置かれた役職で、日本書紀には第八代孝元天皇の子彦太忍信命(ひこふつおしのまことのみこと)の孫(古事記では子)である武内宿禰(たけしうちのすくね)が成務天皇三年正月(133・1)に初めて大臣に任命されたとあります。

 堀田正泰は、京都八坂郷の祇園天神祠官一族の裔で尾張津島天王祠官俊重の曾孫に当り、従五位下に叙され左衛門佐に任ぜられています。

 後村上院の代(1339〜1367)に南朝方に属した正泰は、楠木正行軍に従って河内四条畷で高師直軍と戦い、正平三年(北朝貞和四年)一月五日(1348・2・12)に討死しました。享年は不明です。

 社家堀田氏略系図は、伊利須使主伊利之蓋須→八坂造保武知→佐留→木麻呂→真?→刀良→宿奈麻呂→田次→吉長→文茂→長綱→真連→兼綱→真綱→祇園執行貞行→祇園執行応円→祇園執行良円→祇園執行俊雲→祇園執行俊全→尾張津島天王祠官俊重→重遠→重泰→弥五郎正泰とされます。

 現在の字羽城には八王子大権現及び諏訪大明神が祀られておりましたが、八王子大権現は牛頭天王及びその后神頗梨采女の三女五男の八人の子で八王子と称され、これを祀ったのが八王子権現です。

 維新後の神仏判然令により弥五郎殿は社名を弥五騰社に改めるとともに、同じ字内に祀られていた八王子大権現及び諏訪大明神も社名をそれぞれ八王子社及び諏訪社に改め弥五騰社の境内社として合併されました。

 明治五年十月の神社調査の際に社名を弥五騰社、祭神を手力雄命、忍穂耳命、保食命、建御名方命及び菅原道眞公の五座、例祭日を七月十八日として届け出て、その翌年に碧海郡矢作村員外社(無格社)となりました。

 大正五年八月二十一日、八王子社及び諏訪社の二社を本社弥五騰社に合祀しました。

 社殿前の二基の燈籠は慶応二年に建立されたもので、西側の燈籠には「御神燈」、「慶應二丙寅年八月吉日」及び「若連中」と刻されています。

 東側の燈籠は「井之連中」により昭和三十六年に復元されたもので、その復元理由が次のように刻されています。

「弥五騰神社宝前石燈籠二基復元ノ理由 昭和十九年十二月ト翌廿年一月ノ三河大地震ニ倒壊大破シ、其ノ後同丗四年九月ノ強大ナ伊勢湾台風デ更ニ毀レ 再建ガ不可能トナリマシタ同丗四年六月東洋レーヨン岡崎工場用用水汲上ゲノ為メ 当地方ノ掘貫井戸全部ガ渇水シマシタ当第三区所有井戸ノ渇水補償金デ コレヲ復元シマシタ 昭和丗六年九月」

 合祀により複数の祭神となったものですが、明治五年十月の神社調査の際に届け出た祭神手力雄命(たじからおのみこと)、忍穂耳命(おしほみみのみこと)、保食命(うけもちのみこと)、建御名方命(たけみなかたのみこと・諏訪社)及び菅原道眞公の五座でした。

 岡崎地方史研究会の研究紀要には、現在の主祭神は弥種継命(いやたねつぐのみこと)、配祀倉稲魂命(うがのみたまのみこと、稲荷社)及び合祀少彦名命(すくなひこなのみこと、野畑天神社(字竊樹))、建御名方命(たけみなかたのみこと、諏訪社(字馬場))、八王子(八王子社又は祇園社(字祇園))と記されています。

愛知縣碧海郡神社寫眞帖(愛知縣碧海郡神職會 昭和二十四年二月十一日發行)


平成二十四年五月三日撮影


平成二十四年三月撮影

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